古銅色(こどうしょく)
一般に古手色と呼ばれている黒っぽい色。長い年月をかけて手擦れした、古美術品のような味わいを醸し出します。室内で観賞される香炉、花器、物置に多く用いられます。
徳色(とくいろ)
古銅色とほぼ同様の工程で着けられますが、特に赤っぽい色調を総称して徳色と呼びます。下色の違いによって赤色系の幅広い色調表現が可能です。
古銅色と同様に香炉、花器、置物に用いられます。
鍋長色(なべちょういろ)
下色に刈安(かりやす)(ススキの一種)の煮色を使うのが特徴です。緑がかった黄色地ですが、黒のボカシを併用すると効果的です。仏壇、茶器、花器、など日本文化を伝える道具に使用します。
煮色(にいろ)
地金の組成が発色に大きく関わります。銅分の多い地金と熟練した表面仕上加工技術を要します。透明感のある肌が特徴で、香炉、茶道具、花器など日本古来の高級な道具に用いられます。
宣徳色(せんとくいろ)
明けの宣宗が宣徳3年に製作した銅器を宣徳銅器と呼び「大明宣徳年製」と銘記されています。近代に、伝承された宣徳銅器の色を模したものを宣徳色と称します。
青銅色(せいどうしょく)
銅の錆(緑青)を人工的に発生させ、青や緑の顔料や塗料を薄く被膜してさまざまな色調を再現します。耐食性に優れていることから、屋外の銅像や灯篭に適しています。後に自然の緑青が発生するので風雅さが一段と増していきます。
焼青銅色(やきせいどうしょく)
銅分の少ない地金に朱色を発生させる技法です。使い古した米糠に薬品を混ぜて表面に付着させ、火中で焼くと銅の朱色が分散状に現れます。文鎮や花瓶などの小物に多く用いられます。
本焼青銅色(ほんやきせいどうしょく)
銅分の多い材質に適し、木炭を使って溶解寸前まで焼きます。焼青銅色より朱色が顕著に発生し、流れるような模様が現れます。全体に茶色のものは本焼朱銅色と呼ばれます。無地の花瓶などに効果的に使われています。
茶真鍮色(ちゃじんちゅういろ)
絡み合う金属結晶粒を科学的に折出させることで、美しい結晶模様を浮き出させる技術です。古くからのある色ですが、最近の研究で結晶の大きさを調整する鋳造技法が確立され、幅広い用途が期待されています。
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