金工豆辞典

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金工豆辞典

はじめに:この豆知識は高岡の地場で育まれた金属工芸について掲載しています。
     積極的に御活用されますようお願いいたします。

 

■豆知識 その1

●銅の殺菌効果
銅や銀などの金属には、微量作用と呼ばれる効果があり、わずかな量で殺菌作用を表すものです。 現在、この作用を利用した商品が多数あります。靴の中敷やふきん、包帯、下着、浄水器等数え上げるとかなりの量になります。
実際にプラスチック製と銅製の水道管を用い大腸菌数の比較実験でもその作用が実証されています。
 

■豆知識 その2

●緑青の安全性
緑青は有害であると昔から信じられています。これは精練技術が未熟な時代に、猛毒のヒ素などが混入していたことが原因によるものであると考えられてれます。
また、見るからに青や緑の鮮やかな色が毒物のように目に映ることがあるかと思います。
今日、ネズミによる実験などからその安全性が認められており、厚生省では、緑青の毒性はかぜ薬に使用されるアスピリンとほぼ同様とし、毒物・劇物取締法の普通物と判定しています。
 

■豆知識 その3

●熱伝導
温度の異なる物体を接触させると,熱の移動が生じます。 正確には,移動するのはエネルギーですが、 巨視的には熱伝導としてとらえています。 熱の伝えやすさを表す物理量が熱伝導率です。

・金属の物理的性質
金属名 記号 溶融点
比重 熱伝導度
白金 Pt 1773.5 21.37 0.168
Au 1063 19.3 0.708
タングステン 3400 19.3 0.382
水銀 Hg -38.83 13.546 0.0200
Pb 327.4 11.34 0.838
Ag 960.5 10.5 0.998
モリブデン Mo 2620 10.2 0.346
ビスマース Bi 271 9.8 0.0192
Cu 1083 8.93 0.923
ニッケル Ni 1455 8.9 0.1391
コバルト Co 1490 8.9 0.165
Fe 1530 7.86 0.161
Sn 231.8 7.0〜7.3 0.154
マンガン Mn 124.7 7.2  
亜鉛 Zn 419.5 7.14 0.269
クローム Cr 1560 7.0  
アンチモン Sb 630.5 6.69 0.0432
バナジューム 1715 6.0  
チタニューム Ti 1800 4.5  
アルミニューム Al 659.2 2.70 0.487
珪素 Si 1420 2.33 0.20
マグネシューム Mg 651 1.743 0.370
 

■豆知識 その4

●比重
比重は、重さを比較する値で、比較するために水が使われています。 水の密度は、1g/cm3で4℃の水に対する質量の比を表しています。よって、g/cm3の単位で表した密度の値が、そのまま比重の値になり、比重は密度同士を比較した値をいみします。

・主な金属の比重表
英語 日本語 g/cm3
Silver 10.49
Aluminium アルミニウム 2.7
Gold 19.32
Bismuth ビスマス(蒼鉛) 9.8
Chromium クロム 7.19
Copper 8.93
Iron 7.87
Magnesium マグネシウム 1.74
Molybdenum モリブデン 10.22
Nickel ニッケル 8.90
Lead 11.36
Platinum 白金 21.45
Tin すず 7.30
Titanium チタン 4.51
Tungsten タングステン 19.3
Zinc 亜鉛 7.13
Stainless Steel ステンレス304 7.93
Stainless Steel ステンレス430 7.70
(注意)ステンレスは合金です。原子ではありません。
 

■豆知識 その5

●融点 ゆうてん
1気圧の圧力のもとで、物質が融解するときの温度で融解点ともいいます。 融点はそれぞれの物質によってきまっているので、物質を見分けるときの手がかりになります。
 

■豆知識 その6

●融解 ゆうかい
固体に熱を加えて温度を上げていく場合、化学変化をおこさない物質が、ある温度になるととけて液体になる現象で溶融ともいいます。
 

■豆知識 その7

●黄銅
銅と亜鉛の合金で、別の名を真鍮ともいいます。
亜鉛の含有率が35%のものが一般的で、その他には、銅60%、亜鉛40%のものを 六・四真鍮といい、銅70%、亜鉛30%のものを七・三真鍮と呼んでいます。特に加 工性がよくて美しいため、用途が広く、金物にも多く使用されています。
大別して、プレスや切削などに用いられる伸銅品と鋳物用の黄銅鋳物の2種類があります。
 

■豆知識 その8

●洋白
亜鉛、ニッケルに、少量のマンガンを加えた銀白色の合金で、亜鉛、ニッケルの含有量により数種類に分けられています。耐蝕性にすぐれ、美しいため、装飾品や食器などに多く使用され、また、弾力性に富むため、楽器や電気材料の部品にも 使用されています。
 

■豆知識 その9

●青銅
銅を主成分とした銅とすずの合金です。昔、大砲の砲身がこの青銅の鋳物で造られていたことから、別名を「砲金」ともいいます。
青銅というから青い色をしているように思われますが、それはさびの色であって、もともとの色は黄色に近い色です。すず青銅、りん青銅、アルミニウム青銅、鉛青銅、シルジン青銅 など多くの種類があります。

銅と銅合金の特徴・銅の特性としては、

  • 電気伝導率が銀の次に高く、銀を100として97以上。
  • 耐蝕性がすぐれている。
  • 伸延性、圧延性にすぐれているため、線、条および板加工が容易である。
  • 融合性に富み、金、銀、亜鉛、錫、ニッケルなどと容易に融合し、いろいろな合金をつくる。
 

■豆知識 その10

●りん青銅
青銅に脱酸素剤としてりんを加え、近代的な材料として生まれ変わったのがりん青銅です。その成分は銅をメインとし、7%前後の錫及び0.03〜0.35%微量のりんが含まれます。成分配合、製造方法を変えることで、機械的性質は変化します。
特性は、ばね性に優れており、強度が高く、曲げ、絞り加工性が良い。さらに 電気伝導度、熱伝導度が高く、耐摩耗性が良い。
 

■豆知識 その11

●アルミニウム青銅
アルミニウム青銅鋳物は高力黄銅鋳物よりも機械的性質がすぐれ、更に耐食性、耐熱性を有するので、他の銅合金よりも性能が良い。
耐熱、耐食、耐摩耗性に優れているため船舶用、化学工業用、鉱山用部品、また、比重が小さい点から航空機用部品に用いられる。
 

■豆知識 その12

●鉛青銅
すず青銅に、すずと等量以上の鉛を加えたもので、ニッケルもはいっている。潤滑性がよくほとんどが軸受類の鋳物として使用されている。
 

■豆知識 その13

●シルジン青銅
けい素と亜鉛の入った鋳物用合金です。亜鉛を少なくしているので海水に強く、引張り強さもネーバル黄銅より大きいので、船舶部品の材料となります。
けい素黄銅ともよばれます。

 

 

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