よくある質問
鉄瓶や湯釜は中を触ってはいけないといわれますが、洗わないほうがよいのですか。また、外部の手入れは、どんなことに注意したらよいですか。
- 鉄分の作用で常に湯がまろやかに保たれますので、洗わないほうがよいのです。また、外部の手入れは、必ず空拭きをし乾かして下さい。
- 鉄瓶や湯釜の内部は酸化被膜によって金気止めがなされています。鉄瓶や湯釜は、使用が進むにつれ、内部の褐色の斑点や模様が現れますが、気にして手で触ったり、たわしなどで洗ってはいけません。被膜が破損し、錆やすくなります。外部の手入れは、表面にごみやほこりが付着しないよう、乾いた布でよく拭いて下さい。
先日鉄瓶を購入しました。鉄瓶内部に見られる白いものは飲用しても問題ないのでしょうか?鉄瓶で沸かした湯をピッチャーに入れると白い沈殿物がいつもあり、ちょっと気になっているので教えて頂けるとうれしいです。
- 一般的に、鉄瓶の内側は漆を焼き付けて錆を止めるようにしています。その後、漆のにおいを取るために、内側に炭酸カルシウムを塗ってあります。(南部鉄瓶の中でも、手作りのものは焼抜きといって着色前に真っ赤に焼いて酸化皮膜をつくるので灰黒色のままになっています。)
- ご使用に当たっては、鉄瓶に水を満たし2~3時間煮沸をした後捨てる作業を2回ほどしていただくと、その後は濁ることはないと思います。また、最も注意をすることは、水を入れたまま火を止めた状態にしないということです。出来れば井戸水を使用していただくと内側にカルシウム分が付きやすいので、これが錆を止める役割を果たします。
(解答協力:高岡銅器展示館)
錫器や銀器は、どのように洗ったり、磨いたりしたらよいのですか。
- 家庭用洗剤で洗い流し、やわらかい布で空拭きをしてもらえば充分です。ことさら磨く必要はありません。使えば使うほど、落ち着いた光沢が出ます。
銀瓶や急須が黒ずんだり変色したりするのを防ぐには、どんなことに気をつけたらよいですか。
- やわらかい布で、空拭きして下さい。また、ポリ袋に入れて下さい。
銅器に緑青が発生してしまいました。防ぐには、日頃どんなことに注意するのですか。
- 一般の台所用品で表面着色が施されていない製品は、金属たわしでこすりおとして下さい。
美術工芸品などで手荒な処理ができない場合、緑青発生部分にマッチ棒で椿油を塗ります。2週間ほど放置しておくと、緑青が表面に浮き出てきます。それを中性洗剤で洗い流して下さい。また、1円硬貨で、緑青を削り落とすこともできます。ニッケルはやわらかな金属で、銅器の表面を傷つけません。緑青を取ってもその部分が斑点として残り、製品の美観が損なわれます。緑青の発生の程度にもよりますが、あまりひどい場合は、メーカーに送り、仕上げ直しすることをお勧めします。 - 塩気や湿気に直接当たらないようにして下さい。緑青がついたら必ず水洗いして、乾燥させ、空拭きして下さい。
銅の器に、入れてはいけないものがありますか。
- 強い酸性、塩基性のものはよくありません。
金工品を使い込んでよい味を出していくには、どうしたらよいですか。
- 銅器の味を出すためには、とにかく、布で空拭きし、長い年月をかける以外に方法はないと思われます。
- 常に、布巾で空拭きしてください。時には、ワックスで拭くことも必要です。
金属豆知識
はじめに:この豆知識は高岡の地場で育まれた金属工芸について掲載しています。
積極的に御活用されますようお願いいたします。
銅の殺菌効果
銅や銀などの金属には、微量作用と呼ばれる効果があり、わずかな量で殺菌作用を表すものです。 現在、この作用を利用した商品が多数あります。靴の中敷やふきん、包帯、下着、浄水器等数え上げるとかなりの量になります。
実際にプラスチック製と銅製の水道管を用い大腸菌数の比較実験でもその作用が実証されています。
緑青の安全性
緑青は有害であると昔から信じられています。これは精練技術が未熟な時代に、猛毒のヒ素などが混入していたことが原因によるものであると考えられてれます。
また、見るからに青や緑の鮮やかな色が毒物のように目に映ることがあるかと思います。
今日、ネズミによる実験などからその安全性が認められており、厚生省では、緑青の毒性はかぜ薬に使用されるアスピリンとほぼ同様とし、毒物・劇物取締法の普通物と判定しています。
熱伝導
温度の異なる物体を接触させると、熱の移動が生じます。 正確には、移動するのはエネルギーですが、 巨視的には熱伝導としてとらえています。
熱の伝えやすさを表す物理量が熱伝導率です。
金属の物理的性質
金属名 | 記号 | 溶融点℃ | 比重 | 熱伝導度 |
白金 | Pt | 1773.5 | 21.37 | 0.168 |
金 | Au | 1063 | 19.3 | 0.708 |
タングステン | W | 3400 | 19.3 | 0.382 |
水銀 | Hg | -38.83 | 13.546 | 0.0200 |
鉛 | Pb | 327.4 | 11.34 | 0.838 |
銀 | Ag | 960.5 | 10.5 | 0.998 |
モリブデン | Mo | 2620 | 10.2 | 0.346 |
ビスマース | Bi | 271 | 9.8 | 0.0192 |
銅 | Cu | 1083 | 8.93 | 0.923 |
ニッケル | Ni | 1455 | 8.9 | 0.1391 |
コバルト | Co | 1490 | 8.9 | 0.165 |
鉄 | Fe | 1530 | 7.86 | 0.161 |
錫 | Sn | 231.8 | 7.0~7.3 | 0.154 |
マンガン | Mn | 124.7 | 7.2 | |
亜鉛 | Zn | 419.5 | 7.14 | 0.269 |
クローム | Cr | 1560 | 7.0 | |
アンチモン | Sb | 630.5 | 6.69 | 0.0432 |
バナジューム | V | 1715 | 6.0 | |
チタニューム | Ti | 1800 | 4.5 | |
アルミニューム | Al | 659.2 | 2.70 | 0.487 |
珪素 | Si | 1420 | 2.33 | 0.20 |
マグネシューム | Mg | 651 | 1.743 | 0.370 |
金属名 | 記号 | 溶融点 ℃ | 比重 | 熱伝導度 |
---|---|---|---|---|
白金 | Pt | 1773.5 | 21.37 | 0.168 |
金 | Au | 1063 | 19.3 | 0.708 |
タングステン | W | 3400 | 19.3 | 0.382 |
水銀 | Hg | -38.83 | 13.546 | 0.0200 |
鉛 | Pb | 327.4 | 11.34 | 0.838 |
銀 | Ag | 960.5 | 10.5 | 0.998 |
比重
比重は、重さを比較する値で、比較するために水が使われています。 水の密度は、1g/cm3で4℃の水に対する質量の比を表しています。よって、g/cm3の単位で表した密度の値が、そのまま比重の値になり、比重は密度同士を比較した値をいみします。
主な金属の比重表
英語 | 日本語 | g/cm3 |
Silver | 銀 | 10.49 |
Aluminium | アルミニウム | 2.7 |
Gold | 金 | 19.32 |
Bismuth | ビスマス(蒼鉛) | 9.8 |
Chromium | クロム | 7.19 |
Copper | 銅 | 8.93 |
Iron | 鉄 | 7.87 |
Magnesium | マグネシウム | 1.74 |
Molybdenum | モリブデン | 10.22 |
Nickel | ニッケル | 8.90 |
Lead | 鉛 | 11.36 |
Platinum | 白金 | 21.45 |
Tin | すず | 7.30 |
Titanium | チタン | 4.51 |
Tungsten | タングステン | 19.3 |
Zinc | 亜鉛 | 7.13 |
Stainless Steel | ステンレス304 | 7.93 |
Stainless Steel | ステンレス430 | 7.70 |
(注意)ステンレスは合金です。原子ではありません。 |
融点 ゆうてん
1気圧の圧力のもとで、物質が融解するときの温度で融解点ともいいます。 融点はそれぞれの物質によってきまっているので、物質を見分けるときの手がかりになります。
融解 ゆうかい
固体に熱を加えて温度を上げていく場合、化学変化をおこさない物質が、ある温度になるととけて液体になる現象で溶融ともいいます。
黄銅
銅と亜鉛の合金で、別の名を真鍮ともいいます。
亜鉛の含有率が35%のものが一般的で、その他には、銅60%、亜鉛40%のものを 六・四真鍮といい、銅70%、亜鉛30%のものを七・三真鍮と呼んでいます。特に加 工性がよくて美しいため、用途が広く、金物にも多く使用されています。
大別して、プレスや切削などに用いられる伸銅品と鋳物用の黄銅鋳物の2種類があります。
洋白
亜鉛、ニッケルに、少量のマンガンを加えた銀白色の合金で、亜鉛、ニッケルの含有量により数種類に分けられています。耐蝕性にすぐれ、美しいため、装飾品や食器などに多く使用され、また、弾力性に富むため、楽器や電気材料の部品にも 使用されています。
青銅
銅を主成分とした銅とすずの合金です。昔、大砲の砲身がこの青銅の鋳物で造られていたことから、別名を「砲金」ともいいます。
青銅というから青い色をしているように思われますが、それはさびの色であって、もともとの色は黄色に近い色です。すず青銅、りん青銅、アルミニウム青銅、鉛青銅、シルジン青銅 など多くの種類があります。
銅と銅合金の特徴・銅の特性としては、
- 電気伝導率が銀の次に高く、銀を100として97以上。
- 耐蝕性がすぐれている。
- 伸延性、圧延性にすぐれているため、線、条および板加工が容易である。
- 融合性に富み、金、銀、亜鉛、錫、ニッケルなどと容易に融合し、いろいろな合金をつくる。
りん青銅
青銅に脱酸素剤としてりんを加え、近代的な材料として生まれ変わったのがりん青銅です。その成分は銅をメインとし、7%前後の錫及び0.03~0.35%微量のりんが含まれます。成分配合、製造方法を変えることで、機械的性質は変化します。
特性は、ばね性に優れており、強度が高く、曲げ、絞り加工性が良い。さらに 電気伝導度、熱伝導度が高く、耐摩耗性が良い。
アルミニウム青銅
アルミニウム青銅鋳物は高力黄銅鋳物よりも機械的性質がすぐれ、更に耐食性、耐熱性を有するので、他の銅合金よりも性能が良い。
耐熱、耐食、耐摩耗性に優れているため船舶用、化学工業用、鉱山用部品、また、比重が小さい点から航空機用部品に用いられる。
鉛青銅
すず青銅に、すずと等量以上の鉛を加えたもので、ニッケルもはいっている。潤滑性がよくほとんどが軸受類の鋳物として使用されている。
シルジン青銅
けい素と亜鉛の入った鋳物用合金です。亜鉛を少なくしているので海水に強く、引張り強さもネーバル黄銅より大きいので、船舶部品の材料となります。
けい素黄銅ともよばれます。