【体験教室】鋳物で錫の小皿を作る(指導 中村喜久雄)

先日開催した技体験・匠工房見学ツアーの、午前に実施した体験教室。

 

中村 喜久雄氏には体験を通じて「鋳物-いもの」がどのようなものか、初めての方にも分かりやすく楽しく教えて頂きました。

体験の様子を、少し詳しくご紹介したいと思います。

 

 

 


 

鋳物(いもの)で錫(すず)の小皿を作る

 

[指導]中村 喜久雄(銅器・ガス型) 中村さんの制作風景インタビュー>>映像ご紹介

[所要時間]約2時間30分

[完成品]オリジナル図案の小皿(約13cm)

 


 

1.図案を考える

参加者の皆さんには描きたい図案の下絵を持参いただいたり、中村さんが用意した図案集から選んでいただいたりしました。

左)中村さんによるオリジナルの図案(へちま) 面と線の組み合わせがポイント

右)今回は錫を使いますが、真鍮や青銅でも同じように制作できます

 

 

2.図案をトレーシングペーパーに写す

 

 

3.鋳型-いがた に図案を写す

今回は「ガス型」と言われる鋳造方法での鋳物を行います。

ガス型の鋳型(鋳物の型)は、砂に粘結剤として含ませた水ガラスと二酸化炭素との化学反応で硬化させて作ります。

型は事前に、中村さんが用意してくださっていました。

型の”お皿になるところ”に、カーボン紙を使って図案を写します。

 

 

4.図案に沿って鋳型を彫る

鋳物は、型2つを重ね合わせた時に、空洞になるところに金属を流すことで形になります。

つまり型に彫る図案は、凸になります。

彫りが深くなるほど、凸は大きく盛り上がります。

(初めての方には、ここが「?」となりやすいようでした)

考えながらうまく強弱をつけて、彫り進めていきます。

この写真に映っているボールペン、実はボールペンと”あるもの”を改造して作られた中村さんお手製の彫り道具です。

適度な しなり を持っていて彫りやすい!手作りとは驚きです。

思ったように図案が彫れているか、粘土を押し当てて確認します。

黙々と集中する作業。

 

 

5.目止めを塗り鋳型を合わせる

図案彫りが終わったら、彫った箇所に目止めの液を塗り、型2つを合わせます。

これで型の準備は完了です。

 

 

6.錫-すず を溶かす

錫の地金を溶かします。錫の融点は約230℃と、他の金属に比べてかなり低いです。

今回使用する量は、15分程で完全に溶けました。

溶けた錫は、なんとも不思議で独特な質感。

 

 

7.鋳造-ちゅうぞう

溶かした錫を鋳型に流し込みます。

皆さんが見守る中、中村さんに教わりながら参加者の男性が挑戦。

作業時間を考えると、鋳造はわずか数秒の一瞬で終わってしまう工程ですが、ここ一番の集中と緊張の真剣作業です。

うまくできたかどうか、型から外すまではわかりません。

 

 

8.型をばらし湯道を切る

10分ほど時間を置いたら、型から作品を取り出します。

ここで鋳型を壊してしまうため、もう同じ作品を作ることはできません。

うまくできていました!(よかった)

 

鋳造の時に、溶けた金属が流れ込む通路を 湯道-ゆみち と言います。

湯道を切って、皿の淵にできたバリ(かえりでギザギザしているところ)を取ります。

 

 

9.磨いて仕上げをする

最後に、紙やすりやスチールたわしで磨いて仕上げます。

磨いたところは細かいキズがつくことで、少し白っぽくマットな表情になります。

またはステンレスのスプーンで磨くと、そこだけキラリと光ります。

 

 

完成!

思い思いの図案で出来上がりました。

飾って愛でるも良しですが、錫の皿は食品をのせても大丈夫。

参加者の皆さんは「これで〇〇を食べたいな」と、会話が盛り上がっていました。

 

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